こんにちは。ゴルフトレーナーの谷崎です。
ゴルファーなら誰しも飛距離アップしたいはず。
ちょっとしたコツを知るだけで、今より爆発的に飛距離が伸びる可能性があります。
本記事では、飛距離を伸ばしたい人に向けて、できるだけ短時間で結果を出す方法をご紹介します。
- 飛距離アップのメカニズムについて
- 飛ばすための身体の使い方
- 身体の使い方を習得する方法
飛距離を伸ばすために知っておくべきこと
飛距離はアドバンデージです。必ずしもスコアを縮めることに直結するとは言い切れませんが、飛距離があって損することは1つもありません。
とは言え、なかなか簡単なことではないですよね。
飛ばすために知っておくべきことを、しっかり頭に入れておきましょう。
知っていると知らないのとでは、練習の効果が何倍も違います。
飛距離を決める3要素は、以下の3つでしたね。
- ボール初速
- スピン量
- 打ち出し角
このうちの、ボール初速を上げる方法の1つが「ヘッドスピードを上げる」です。
ヘッドスピードを上げる
クラブのヘッドスピードを上げるには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- クラブを効率よく操作する
- 効率の良い身体の使い方をする
今回は「2」の、”飛距離アップをするための効率の良い身体の使い方”に着目します。
カギとなるのはズバリ!体重移動です。
「なんだ体重移動か…」と思った方!
多くの方はゴルフにおける体重移動を勘違いしています。
正しい体重移動を知ろう
ここは今回の記事の中で一番大事なポイントです。
体重移動の物理を理解する
わたしは以前、反力打法で有名なヤン・フー・クォン教授の、ゴルフバイオメカニクスの講習会(Dr.Kwon’s Golf Biomechanics Levels 1 &2)が日本で開催された際に参加し、かなり詳しく体重移動について学びました。
こう言ってはナンですが、クォン教授は見た目は普通のおじさん笑
だけど、プロゴルファーでもないのにドライバーは300ヤード越えなのです!!
さすがゴルフの身体の使い方を理解されているからですね。
物理学が苦手な人にとっては、読み飛ばしたくなる部分ですが、できるだけ簡単にまとめてみましたので読んでみてください。
きっとゴルフスイングがもっと楽しくなるはずです。
私も文系なので、物理学はかなり苦手です…笑
人の身体の運動面3つを確認
まず、ざっくりと人の動きについて説明します。
人の動きはとても複雑ですが、解剖学ではこの3つの面上での動作に分けて考えられます。
それぞれの青い面をなぞるような方向の動きです。
(例)首の関節
正面を向いた状態で、うなずいたり上を向いたりする動き。
(例)肩の関節
前へならえをしたり、気をつけに戻したりする動きです。
(例)首の関節
横を向いたり、振り向いたりする動き
(例)肩の関節
前へならえの状態から、手を横へ開いてTの字を作るようにする動き。
(例)首の関節
横にかしげる動き
(例)肩の関節
手を横に広げて、鳥が飛ぶのを真似するように、大きくパタパタ動かす動き。
実際のゴルフスイングは複雑なので、これら3面の動きが全て組み合わさって行われています。
運動の2種類を確認
運動の面がわかったところで、運動の種類をみてみましょう。2種類あります。
並進運動
並進運動とは、その物体が位置を変える動きです。
前後、左右、上下。またはその組み合わせです。
回転運動
回転運動は、ある回転軸で物体が回転する運動のことです。
先ほどの3つの面それぞれにおいて、その面上での回転となります。
前後の回転、水平の回転、左右の回転。多くの場合、それらの組み合わせです。
(※人の関節の動きで回転という表現はなく、回旋などで表されます。)
地面反力を利用する
クォン教授はアメリカで、トップツアープロをはじめ、数多くのゴルファーを対象に研究を行っています。
身体にモーションセンサーをつけ、フォースプレートという地面反力がどのくらいかかっているか数値化できる装置を使い、ゴルフスイングを分析しています。
興味深かったのは、上記の動きのどれが一番ヘッドスピードを上げることに貢献しているかを教えてくれたことです。
回転運動(トルク)を生み出すためには、地面反力が必要になってきます。
壁を押した時に押した力と同じ力だけ壁に押し返されるというのが反力です。
ちなみに、地面がない状態でスイングすると、どうなるか?という実験を、クォン教授の教え子でタイガー・ウッズのコーチも経験しているクリス・コモが行っています。
これだと、地面反力を使うことができないので、代わりに自分の筋力を使わないといけません。
つまり、地面反力を最大限に利用することで、力強いスイングが可能となり、飛距離を伸ばすことができるのです。
クリス・コモの実験動画はこちらです。
テコを利用する
では、地面反力をどのように使うのが望ましいのかについて、さらに理解を深めてみましょう。
四角い物体を例にして説明をしていきます。
四角い物体の重心を赤丸で示しました。
この赤丸に向かって力を加えると、物体は並進運動で移動します。
回転運動させるならば、重心からずれたところに力を加える必要があります。
ここでテコの原理を思い出してみましょう。
下の図で、赤丸(重心)が固定されているとするならば、1番効率よく=1番少ないエネルギーで物体を回転させることができるのは、A、B、Cのどの位置を押した場合でしょうか?
正解はCですね。
重心から離れた位置を押すと、レバーアームが長く使えて、少ない力で大きな力を生み出せます。
ヘッドを走らせる
ここまでわかったところで、ゴルフスイングにテコの力を利用してみましょう。
使う場面としては、ダウンスイングです。
クラブの動きではなく、身体の動きの中でどうテコを利用するか解説します。
わかりやすくするために、先ほどの運動面でいうと「前額面」の動きだけでお話しますね。
下の図のような面での回転になります。
ゴルフでは、足が地面についていますので、上半身が主に回転します。
背骨を軸と考えたとき、でんでん太鼓のように、軸が急ブレーキをかけると腕の部分は速度をあげますね。
ゴルフでいうと「ヘッドが走る」状態になります。
急ブレーキのかけ方は、下の図のように重心位置よりもやや離れたところを目指すと効率が良いということになります。
ありがちな勘違いは、重心位置、あるいは体重を左足に乗せすぎて重心位置よりも身体の左(図でいうと右)に向かって地面反力が働くことです。
体重移動という言葉に惑わされますが、実際には踏み込み動作を強く行う、というイメージの方が正しく行えます。
(※正確にいうと下半身に急ブレーキをかけるのではなく、下半身も回り続けるのですが、エネルギーのかけ方として考えてください。)
右に体重を残すわけではない
先ほどの悪い例のように、骨盤が左に流れてしまうと、効率の悪いスイングになってしまいます。
「体重移動」という言葉によって連想してしまう、”移動するようなイメージ”を持っている方は、それを捨てましょう。
ゴルフでの体重移動は『強く踏み込む』というイメージが良いですね。
そうすると、アドレスの時に構えた骨盤の位置、足の位置がインパクト時にもあまり変わりません。
その場でクルンと回転するイメージを持ってください。
それだと右足に体重が残って、明治の大砲みたいになるのでは?
右足も地面に接地しているので、体重が全く乗っていないわけではありませんが、踏み込み具合は圧倒的に左足の方が強いのです。フィニッシュではもちろん左足一本で立つくらい、左足体重でOKです。
左足で強く踏み込むのタイミングとしては、インパクトの直前です!
インパクトよりも前にグッと強く踏み込むことで、ヘッドが返ってくることになります。
運動連鎖
下半身から始動し、その後に上半身がついてくる運動連鎖。
下半身が強烈にブレーキをかけ、それを上半身が追い越していくという事が、結果としてヘッドスピードを上げることに繋がってきます。
この理解をするだけでも、ヘッドスピード、そして飛距離が変わってくるかなと思います!
私が大好きな動画、横田真一プロのぶらんぶらん体操を、足の屈伸を大げさにやりながら行うと、踏み込むことの重要性と運動連鎖がわかりやすいと思います!
飛ばすための身体の使い方を習得する
それでは最後にエクササイズ方法をご紹介します。
↓こちらの動画にも載っているので合わせてご覧ください。
運動連鎖のエクササイズ
下半身と上半身が連動して動くことを体感し、踏み込みのタイミングを身体に染み込ませるエクササイズです。しつこく行うと身体が勝手に覚えてくれます。
(1) アドレス姿勢になり、ダンベルなどを持ちます
(2) 足踏みをし、左右の足で交互に踏み込みしながら、ダンベルも左右にぶらんぶらん振ります
(3) 腕の動きはハーフスイング程度です
・骨盤が横に流れないように意識します
・一回ごとに動きを止めるのではなく、左右の動きを連続して行います
・ダンベルを投げてしまわないように気を付けましょう
目を閉じるのも良いやり方。身体の感覚を研ぎ澄ませてみてください。
地面反力を感じるためのエクササイズ
「踏み込む」「地面を押す」という感覚がわかりにくい、という方にオススメのエクササイズです。
踏み込むとはこういうことか!というイメージを持てるようになります。
(1) アドレス姿勢になります
(2) 左足でゴムバンドの端を踏み、右手でゴムバンドの反対側の端を持ちます
(3) 右手でゴムバンドを引き上げ、左手を同時のタイミングで前に伸ばします
・バンドを踏んでいる足の裏で、地面を強く踏み込んでいることを感じましょう!
今回は、ヘッドスピードを上げるためのカラダの使い方をご紹介させていただきました!
体重移動の捉え方1つでヘッドスピードを上げることが可能になりますので、ぜひ実践してみてください!